ヘボリーマンが外資に転職して必死に英語を勉強した話
目次
英語ができないのに外資に転職しました
27歳のとき、新卒で入った会社を辞めて外資系の会社に転職しました。
新卒で入った会社は日系で従業員1000人程度の規模、日本全国に支店のある企業でしたが、新しく入った外資の会社の日本支店の従業員は約50名。日本の拠点は東京の1オフィスだけです。環境が全然違うところで働くこととなりました。
知り合いの紹介を通じて転職したのですが、「外資だけど日本支店はみんな日本人だしお客さんも日本企業だし、英語は徐々に覚えればよいよ」という言葉につられ、転職を決意しました。でもこれは半分は本当で半分は嘘でした。
まず「日本支店はみんな日本人でお客さんも日本企業」これは本当でした。でも後段の「英語は徐々に覚えればよい」これは嘘でした。英語ができないと仕事になりませんでした。
初めて新しい会社に出社した日、見知らぬ屈強な白人がオフィスにいました。日本支店の従業員は日本人だけだと聞いていたのに。
「Hi, nice to meet you. ペラペラペラ........」と流暢な英語で自己紹介をしてきますが、最初のNice to meet you以外は全然聞き取れません。
当時のTOEICは500点くらいだったと記憶しています。
この白人はどうやらシンガポール支店から来た方で、コロ助に新入社員トレーニングのために1週間出張で来ているということでした。日系企業からきた若干28才のプリティボーイであるコロ助のために、わざわざシンガポールから!
ボブはコロ助が英語をできないと知ってきているのでしょうか?
マンツーマンで会議室でトレーニングをしてくれるボブ。会社の仕組みやマーケット環境、商品説明などをしてくれているのだと思いますが、さっぱりわかりません。コロ助は「やばい、全然わからんがな」と冷や汗をかきながら、パワポ資料に書いている英語を電子辞書で訳しなんとか概要をつかむのに必死でした。
とりあえず何か聞かれたら「OK、OK」ということしかできません。決してNoと言えない日本人の典型です。
ファミレスで単語勉強
地獄のようなトレーニングをひきつった笑顔と電子辞書でなんとか乗り切りましたが、その後も海外との電話会議では何も話せないダメ社員ぶりは続いていました。対面で話しても理解できない僕が電話での英語を聞き取れるわけがありません。
英語のできる上司に一緒に電話会議に入ってもらったりしてなんとかしのいでいましたが、おそらく他の社員からは「使えない奴を採用しちまったよ」と思われていたことでしょう。
メールは電子辞書やGoogle翻訳を使って何とかなっていましたが、結構な頻度で海外支店とのやりとりがあったため非常にストレスを抱えながら仕事をしている状態でした。
このままではいかんと、当然英語の勉強は始めることになります。
まず最初にやったのは単語の勉強です。
「電話で英語が聞き取れないんだったらまずリスニングからやればいいじゃないか」と思うかもしれませんが、当時のコロ助の英語レベルは雑魚すぎてそのリスニングに出てくる英単語の意味がわからないレベルでした。
ありがたいことにほぼ毎日定時、おそくても18時には誰も職場にいなくなるような職場環境でした。
当時独身だったコロ助は仕事が終わるとファミレスに居座り、まずドリンクバーを頼んで場所を確保。大学受験の際に使っていた「システム英単語(駿台受験シリーズ)」をコツコツとやり直しました。単語を見てノートに書き写す。というテクノロジー全盛の時代にひたすら古典的なやり方でボキャブラリーを増やしていきました。
19時前後には夕飯をオーダーして一息ついて、その後また食後のコーヒーを飲みながら単語勉強。これをひたすら毎日続けました。
土曜日曜も同じです。午前中朝の5時半くらいにファミレスに行き、モーニングを食べつつ昼近くまで粘って単語勉強をしていました。こうした生活を数か月続けた後に受けたTOEICは610点くらいでした。もともと入社前は500点くらいだったので大幅な進歩です。
YouTubeとPodcast
単語がだんだんわかるようになってきた後はリスニングの勉強です。ただしこの段階ではまだ英会話学校に行く勇気はありませんでした。
そこでまず無料でできるYouTubeとPodcastで耳を英語に慣らすことにしました。よく使っていたのは↓のものです。
ミカエラチャンネル
福岡在中のカナダ人、ミカエラちゃんが日本のいろんな観光地や食事を紹介するチャンネルです。見ての通り美人さんなので目にも優しい笑。
バイリンガルニュース
日本人のマミと日米ハーフのマイケルが日本語と英語で会話するPodcast。基本的にマミは日本語で、マイケルは英語で、世界各国で起こったニュースについて議論していきます。知的好奇心を満たしてくれる面白いトピックを取り扱っているため、飽きずに聞くことができます。例えば
「73歳の熟女が働く風俗店が摘発された」
「ホッキョクグマの生殖器が年々小さくなっている問題」
「女性は全員バイセクシャル説」
とかそんなトピック。この番組でペ〇スの正しい発音を学びました笑
英会話教室へ
その後はマンツーマンの英会話教室にも通いました。1回40分、月8回のコースで年間50万円弱だったと記憶しています。
最初に能力テスト的なものがあり、そこで自分のレベルが判定されます。コロ助は10段階の5でした。そこでレベルにあったテキストを使って勉強することになります。コースは日常会話、ビジネス会話、TOEIC対策などがあり、ビジネス会話を選びました。
「電話応対」「アポイント設定」といったシチュエーションに合わせて、テキストの会話をネイティブの講師と交互に読んでいく。慣れてきたらテキストなし。というような内容です。
日本語で言えば
「あいにく山田は席を外しております」
「帰ってきたら折り返しさせます」
「木曜日は都合が悪いので来週月曜日はいかがでしょう」
といったようなものをひたすら練習します。定型文を学ぶという意味では非常に有効でした。
ただリスニング力が鍛えられたかというと疑問。
講師はテキスト通りのシチュエーションでしか話さないので、別に聞き取れなくてもある程度会話の内容の予想はついてしまいます。どちらかというと英会話教室はスピーキングの練習で、英語を発音することに慣れる場所だと思います。
通常のテキストを使った勉強の他に「自分でプレゼンを作ってそれを講師に発表する」という形式の勉強もやりました。
紙芝居みたいな形で毎回資料を作り、英語でプレゼンする。プレゼンの内容は「フランスでくまのプーさんが下半身露出が卑猥だということで禁止になった話」や「ノーヒットノーランを逃し続けた西口文也の話」など、自分が興味がある内容。TEDのような形で講師の前でプレゼンをしていました。これは結構事前準備がいるので、良いトレーニングになったと思います。
この英会話教室に1年通い、そこで辞めてしまいました。ちょっとお金がきつく、当時オンライン英会話も増えてきたことが原因です。
この時点でTOEICは740点くらいになっていました。
英語での電話会議も、自分の意見を言うのは難しくとも「相手の言っていることはなんとなくわかるかな」というレベルでした。
オンライン英会話
その後フィリピン系のオンライン英会話に移行しました。1日1回25分、月額7000円くらいでした。
オンライン英会話、安くて良いのですが使い方次第だと思います。
基本的な授業の進め方はテキストに沿って講師と会話していく形式だったのですが、何も考えずにやっていると「単にテキストを音読しているだけ」で授業が終わってしまったりします。
このあたりで気づいたのですが、コロ助は「テキストに書いてあることをそのまま読む」ことはできるのですが、「相手が言ってきたことに対して瞬時に作文して回答する」という能力が劣っているのです。
相手の言ってきたこともわかる。それに対してこう返答したいという回答を「瞬時に英語で正しい文章を作る」ということができないのです。
単にだらだらとオンラインでテキストに沿った英会話をしていてもこの能力が鍛えられるとは思えません。もしオンライン英会話をやるのであれば、テキストを使うのではなく「フリー会話」をやった方が良かったのかなと今では思います。
海外出張とプレゼン
英語を勉強してしばらくしたとき、本社への単身海外出張の機会がありました。海外の各拠点から集まり、全体研修を受けるというものです。コロ助はそこで日本支店からただ1人本社へ行くこととなりました。
周りは全員外国人。中国、シンガポール、マレーシア、オーストラリア、アメリカ、カナダ、ブラジル、イギリス、スペイン、スイス・・・と世界各国から同僚たちが集まり、各国のマーケット状況などを報告します。
コロ助は日本のマーケット情報をパワーポイントにまとめ、約10分で発表するという機会を与えられました。
結論から言うと、プレゼンは上手くいきました。上で述べたように、この時点で「単にテキストを音読するだけ」であればある程度できるようになっていたのです。
事前にプレゼン自体のスクリプトを作り何回も暗記するほど練習すれば、プレゼン自体をこなすのは難しくありません。
あとはプレゼンに対する質疑応答もありましたが、これも質問が来そうなことを予測して答えを用意しておくことで乗り切れます。
ただ困ったのはランチやディナーのときです。ここではみんなリラックスして様々なトピックを話します。どんな話になるのかわからないので事前の準備は不可能です。当たり障りのなくつまらないトピック(日本の食事や観光地についてなど)について少し話せば、あとはもう何も話せません。
英語が堪能な人たちは次々に楽しそうに会話をしていますが、全然ついていけません。1対1で話をするときは向こうも気を使ってゆっくりわかりやすい単語を使ってなんとかコミュニケーションができるのですが、「多対多」の会話はスピードに全然ついていけません。
日本人らしく「ニコニコしてごまかす」ということしかできない自分がなさけなくなりました。
スマホアプリ
スマホアプリも英会話の勉強に有効です。英語の勉強を始めたころは英単語長を書き写すという原始的な方法で勉強していましたが、今では役に立つアプリもいっぱいあります。今使っているアプリを少し紹介します。
AI英会話SpeakBuddy(スピークバディ)
「AI英会話」という触れ込みで、スマホアプリ上のキャラクターと英会話をしていくアプリです。基本的にはキャラクターと交互にテキストを読んでいくというものですが、音声認識機能がついており自分で読み上げた文章の発音をチェックしてくれます。また和文英訳のような問題もあり、日本語で表示されたテキストを英語に直して読み上げ、正誤を判定するような機能もあります。
コンテンツ量が豊富で、毎日やってもなかなか全てのコンテンツを終わらせることはできません。
また月ごとの限定コンテンツが追加されることもあり、飽きずに続けることができます。
ただしせっかく文法的にも内容的にも正しいことをしゃべっても、アプリで事前に登録されてある正解と違ったことを言うと容赦なく減点されます。あくまで想定された正解を正しく暗記して発音できるか、ということに重点を置いたアプリです。
月額2000円くらいかかりますが、安いものだと思います。
TEDICT
有名なTEDのスピーチを見ることができるアプリです。
内容が面白いことと、中国人の話す英語やインド人の話す英語など様々な非ネイティブの英語を聞けるのが特徴です。
嬉しいのはダウンロード機能がついていることで、あらかじめWifi環境があるところで好きなトピックをダウンロードしておけば、あとは電車の中でもどこでもギガを消費せずに勉強することができます。
ディクテーション機能もついているので、これで正確に聞き取りができるようになることを目指します。月額500円程度ですが、これも安いものです。
結局まだまだ仕事で困ることは多い
かれこれ外資に転職して5年くらいたちました。1年くらい前に受けたTOEICは875点になりましたが、まだまだ英語で困ることは多いです。
- メールなど文字でのコミュニケーションはほとんど困らない
- 1対1の電話などはそれなりにコミュニケーションがとれる
- 言いたいことの60%くらいは英語で話せる
- プレゼンなどしっかり準備ができて一方的に話すだけなら問題なし
- 多対多のミーティングなどは置いてきぼりになりがち
- アジア人との会話は相手のボキャブラリも少ないこともありわかりやすい
- ディナーなどでのネイティブとのフランクな会話はほとんどわからない
というのが現時点での実力です。まだまだです。
英語に限らず、何事も勉強で大事なのは継続性です。すぐ飽きてしまって酒を飲んだり遊びに行っちゃったりする人はなかなか伸びません。
そしていかにして継続して勉強するかというと、楽しむことが大事です。楽しくない勉強は続きません。
どんな効果的な勉強法でもそれをやるのが辛いようでは、もって3か月です。それ以上は続きません。
歌が歌うのが好きな人は英語の歌を歌って勉強するのもいいでしょう。映画が好きな人やアニメが好きな人はそう言った方法もいいかもしれません。
リディア・マホバというポリグロット(多言語を操ることができる人)が同じようにポリグロットに「どんな勉強法で新しい言語を覚えているか」という平リングをしたところ、特に共通した言語習得方法はなかったそうです。
ただ一つの共通点は「言語を学ぶ過程の楽しみ方を知っていること」。
この言葉を肝に銘じて、これからも勉強を続けてスーパーサラリーマンを目指したいと思います。
- 鳥谷コロ助
へぼい外資系リーマンです。英語はいまだに勉強中。TOEIC875点。Bond-BBT MBA。英語学習とMBAと資産運用についてのブログを書いています。平飼いの卵とフェアトレードを好みます。金持ち父さんになるために日々悪戦苦闘。面白いことと平和なことが好きです。
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