BOND大学MBAの授業紹介 ★Effective Negotiation (交渉術)
コロ助はBOND-BBT MBAの卒業生です。
コロ助が受講したBOND-BBT MBAの授業内容を紹介します。これからBOND-BBT MBAへの挑戦を考えている人の参考になればと思います。なお現在では授業内容が変わっているかもしれませんのでご注意ください。今回はEffective Negotiation(交渉術)の授業を紹介します。
目次
Effective Negotiation
ビジネスでは様々なシーンで交渉を行います。契約条件の交渉、価格交渉、そういった場面での交渉術を学ぶ授業です。
交渉術は非常に重要なビジネススキルですが、日本人は一般的に苦手とする分野です。衝突を避けようとする日本人の性格でしょうか?
まずは交渉術の基本的な流れを説明します。
交渉のゴールを設定する
相手との交渉での自分にとってのゴールを設定します。例えばあなたが企業の調達担当者で何らかの資材を購入する場合
・予算は2000万円以内
・納期は3か月以内
というゴールを設定します。このうち、例えば予算は2000万円だがもちろん安ければ安いほど良いはずです。そのため
・ターゲット価格は1500万円
・2000万円を超えたら予算オーバーなので交渉は決裂
といったように具体的に数字に落とし込むと良いでしょう。
この絶対に譲れない価格 (2000万円)のことをResistance pointといいます。交渉の際は必ずこのResistance pointをあらかじめ設定しましょう。
交渉のアプローチ方法を設定する
交渉のアプローチ方法には大きく5つのパターンがあります。
Accommodating 相手の言うことを聞き入れる
Competing 相手を言い負かす
Collaborating Win-Winとなる条件を探し出す
Compromising お互いに少しずつ妥協する
Avoiding 決裂させる
先ほどの例でいえば、あなたはできれば1500万円で、高くても2000万円で資材を買いたいと思っています。
しかし相手にも事情があります。資材の定価は2200万円かもしれません。ここで交渉が始まります。
相手の事情を受け入れ2200万円での購入を目指すのがAccommodating
相手を言い負かして1500万円で買うように交渉していくのがCompeting
お互いに少しずつ妥協して1800万円に向けて交渉していくのがCompromising
お互いにWin-Winとなる条件(例えば価格は1900万円にするから納期を少し早くしてくれ、等)を探すのがCollaboratingです。
最初からAccommodatingを目指すのであればそもそも交渉は必要ありません。最初はCollaboratingやCompetingを目指し、それが難しい場合は徐々にCompromisingやAccommodatingへシフトしていきます。
BATNA
BATNA(Best Alternative to a Negotiated Agreement)とはもし交渉が決裂した時の代替手段です。
例えば「Aという業者から資材が購入できなければBと交渉しよう」といった場合と「この資材はAという業者しか扱っていないのでどうしてもAから買わなければいけない」という状況では、交渉の仕方が変わってきます。
前者の場合は強気にCompetingを目指すこともできますが、後者の場合は最終的にはAccommodationを目指さなくてはならなくなります。
自分のBATNAと相手のBATNAを考え、どちらが交渉上有利な立場にいるのかあらかじめ把握しておきましょう。
交渉戦略
交渉を進めていく中で、自分に有利に交渉を進めるために様々な戦略(Tactics)を駆使します。この戦略は交渉の流れを大きく変えるのに役立ちます。
リスクの低い戦略
Flattery | お世辞を言って相手を良い気分にさせる。 |
Address the easy points first | 簡単に解決できることから始めてよい流れを作る。 |
Silent | こちらからは情報を出さず、相手から情報を引き出す。 |
Oh poor me | 自分の不遇な境遇を伝える。
例)今度3人目の子供が産まれるんです。何とか給料を上げてくれませんか? |
Inflated opening position | 高めの要求を最初に行う。
例)(本当は50万円の商品なのに) 60万円でどうでしょうか? |
リスクが中程度の戦略
Bogey | 些細なことを重要な事項であるかのように/重要なことを些細な事項であるようにふるまう。
例)(本当は納期はどうでもよく価格が大事なのに) えっ納品が1か月後になってしまうんですか?それは困りますねぇ。でも仕方ない、5%値引きしてもらえれば1か月後でもよいですよ。 |
Nibble | 交渉成立に加えて、更なる追加要求をする。
例)ではこのスーツを買います。ところでネクタイも無料でつけてくれますよね? |
Snow job | 専門用語を多用したり大量の情報を与えるなどして、相手を混乱させて心理的優位に立って丸め込む。 |
Standing and Quibbling | 重箱の隅をつつくような屁理屈をこね、相手に心理的な負い目を負わせて譲歩を誘う。 |
リスクの高い戦略
Unexpected temper losses | 突然キレたふりをして相手の譲歩を誘う。 |
Take it or Leave it | 最後通告で二者択一を迫る。
例)この条件を飲めないのであれば決裂です。 |
Chicken | チキンレースのごとく、自分の条件をぎりぎりまで譲らずにブラフをかまして相手の譲歩を得る |
Mock withdrawal | あきらめるフリをして相手の譲歩を引き出す。
例)1000万円より下がらないんだったら他の業者を探します。 |
これらの戦略をうまく駆使しながら、自分に有利な条件を獲得できるように交渉していきます。
授業の流れ
このEffective Negotiationの授業はStudy TourというオーストラリアのBond大学の現地で行われます。
Question from the Video
渡豪の前の事前課題として、オンラインのビデオ講義があります。
60分のビデオが計6本あります。英語です。
このビデオの中で問題が全部で20問くらい出ます。これをレポート形式にして回答を作成します。
Negotiation Role Play
現地で実際に交渉術のロールプレイを行います。コロ助が参加したときは全部で4回のロールプレイがありました。
1対1またはグループ対グループでの交渉を行います。もちろん英語で行います。
ロールプレイはNegotiation用の特別な部屋で行われます。部屋の中には自分とその交渉相手しか入れません。
部屋には鏡がついており、マジックミラーになっています。そのマジックミラーのうしろで先生が交渉を見て採点しています。
ロールプレイの前日に、自分の役割が書いた紙が渡されます。例えば・・・
・あなたは大学のパソコンの購入係です。
・新学期が始まる4月までにパソコンを100台購入しなくていけません。
・4月までにパソコンが納入されないと、大学の授業を開始することができません。
・予算は200,000ドルです。
交渉の相手方も同じように紙が渡されます。例えば・・・
・あなたはパソコン販売店の社員です。
・今月中にあと100,000ドルの入金がないと、銀行への利息を返済できません。
・パソコンの在庫は80台あります。あと1か月経てば新たに50台納入されます。
・パソコンの単価は2000ドルです。
・銀行への利息返済を考えると、値引きしてでも売って現金を手にする必要があります。
お互いはお互いの状況を知りません。その中でうまく相手の情報を引き出しながら条件交渉をしていきます。
大体20名くらいの授業だったので10組の交渉のロールプレイが行われるのですが、最も高くパソコンを買った組と最も安くパソコンを買った組では価格に倍くらいの差がありました。
交渉しだいではこんなに結果に差が出てくるということです。戦略を駆使してうまく交渉しましょう。
ロールプレイを行う、次の日のケースが配られる、準備する、翌日またロールプレイを行う。。。の繰り返しです。
最終試験
最終試験は大学のパソコンルームで行われます。
知識を問う問題、実際にこういう場合はどのように交渉するか?といった問題が出されます。
教科書の持ち込みはできません。電子辞書や通信機器の持ち込みもできません。唯一持ち込みが許されているのは「紙の辞書」です。
この授業をマスターすれば、普段交渉に慣れていない日本人相手の交渉であれば無双できるはず???です。
- 鳥谷コロ助
へぼい外資系リーマンです。英語はいまだに勉強中。TOEIC875点。Bond-BBT MBA。英語学習とMBAと資産運用についてのブログを書いています。平飼いの卵とフェアトレードを好みます。金持ち父さんになるために日々悪戦苦闘。面白いことと平和なことが好きです。
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