3C分析とは?事例を挙げてわかりやすく説明します。
3C分析とはなんでしょうか?今回は3C分析について
・どのような目的で使われるのか
・どのように使うか
解説していきたいと思います。
3C分析の目的
3C分析は「さんシーぶんせき」と読みます。
3C分析はCompany、Competitor、Customerの頭文字をとったものです。自社(Company)、競合(Competitor)、市場・顧客(Customer)についての分析を行います。
企業経営はさまざまな問題の連続です。売上があがらない。利益が出ない。競争に勝てない。市場環境が変化した。こうした問題を解決するためのアクションが戦略です。
戦略にはさまざまな方法が考えられます。新商品を開発する。販売チャネルを拡大する。海外展開をする。新規事業を立ち上げる。撤退する。
こうした戦略を思い付きでやみくもに行っても成功率は低いでしょう。戦略を実行する前に、あらかじめマーケットの状況を分析する必要があります。そのための分析手法のひとつが3C分析です。
自社、競合、顧客・市場に分けることで、マーケット環境を漏れやダブリなく分析することができます。
3C分析で重要なことは、まず事実関係を羅列することです。自社の問題点や戦略の方向性を考えるための下準備だと思ってください。
ここでは100円ショップのセリアを例に、3C分析のやり方を学んでいきます。なお以下の分析は2019年1月に行ったものです。
Company (自社)
まずはセリアの自社分析です。
・コンセプトは「Color the days」。日常を彩る100円ショップ 。
・女性を主なターゲットとしている。
・直近売上高1591憶円、営業利益165億円。いずれも右肩上がりで推移。営業利益率は約10%。
・中部地方中心。関東(特に東京)は出店数が相対的に少ない。
・海外には展開せず、国内のみの出店。
・PB商品を展開。顧客の声を反映させた商品開発を行う。
Competitor (競合)
次に、セリアの競合となる企業の分析を行います。
・取り扱いアイテム数はダイソー(7万点)、キャンドゥ(3万点)、ワッツ(2万点)
・ダイソー:「必要不可欠な日常ストア」アイテム数の多さで顧客を飽きさせない →数で勝負
・またダイソーは積極的な海外展開を行っている。
・キャンドゥ:「信頼No.1」量から質への転換 →品質で勝負
・ワッツ:「小規模・実生活雑貨」アイテム数が少ない小規模店舗 →小回りが利く
Customer (顧客・市場)
最後に100円ショップの顧客・市場分析です。
・販売額が固定されているため、為替による原材料額の高騰が利益率に影響を与える。
・国内のインフレ率の増加に伴い、販管費でのコスト削減対応が求められる。
・単価の安い製品であるため、配送料の問題からオンラインショップとの競合は激しくない。
・顧客は100円の製品といえど、一定の品質を求める傾向にある。
・製品は100円の安価な最寄り品であり、どこでも買えるものである。
So What?
3C分析はそれ自体が目的ではありません。3C分析の結果、So What? (だから何?)を考えることが重要です。
例えば以下のようなことが3C分析から導くことができます。
100円均一ショップの業界は比較的各社のポジショニングがはっきりしており、ある程度の棲み分けが出来ているからだと考える。また業界として差し迫った危機に直面しているわけでもないため、当面は現状維持でも問題はない。
業界トップのダイソーとは売上高で大きな開きがある。しかしこれは差別化戦略(セリアはターゲットを女性に、製品種類を雑貨に絞ることで競争優位を獲得し、高収益を獲得している)の結果によるもので、業界一位のダイソーを売上高で超えることを目標とする戦略を立てることが正解であるとは言えないだろう。
想定されるリスクはセリアの事業セグメントが100円ショップ事業の単一セグメントであるということである。急激なインフレや為替の変化など、市場の予期せぬ変化・進化により100円ショップという業態の営業が難しくなったときに備え、売上が好調でCash Richな今のうちに何らかの全社戦略(製品多角化or地理的多角化 or 垂直統合)を検討して新たな収益源を確保すべきである。この点、ダイソーは海外展開を積極的に行っており一定のリスク転嫁がされている。
また製品は最寄り品であり、他社からの模倣のリスクもある。同業他社が同じように女性向けにターゲティングした商品展開を行ってきた場合、シェアを奪われる可能性がある。
このように3C分析から自社の問題点を探し出し、それを解決するための戦略を考えます。
上のSo What?で見たように、現在大きな問題はないものの「国内の100円ショップしか収益源がなく、インフレや為替変化に弱い」および「他社からの模倣リスク」といった点が今後の課題と言えます。
こうした問題を解決するための今後の戦略の方向性の例として
セリアのコンセプト(Color the days)を踏襲した家具店、カフェなどへの多角化を行い、ライフスタイルブランドとしての一貫性を保ちながら100円ショップ以外の業態への多角化を目指す。
製品の模倣困難性を高め競争優位を確保するために、他社(他者)とのタイアップ商品の企画を検討する。主要ターゲット層である女性に訴求するタイアップとして、例えばキッチン用品における「カリスマ家政婦:志麻さん」とタイアップを検討する。
といったものが一例として考えられます。
このように企業の問題点の洗い出しや戦略の方向性を考えるための最初のステップとして、3C分析は用いられます。
参考リンク
ダイソーHP 創業者からのメッセージ
https://www.daiso-sangyo.co.jp/company/msg_philos
セリアHP What's Seria?
https://www.seria-group.com/about/
Can Do有価証券報告書 株主プロ
http://www.kabupro.jp/mark/20180226/S100CGN0.htm
ワッツ ~ワッツブランドとローコスト店舗の再構築~
https://www.watts-jp.com/ir/27/1/
- 鳥谷コロ助
へぼい外資系リーマンです。英語はいまだに勉強中。TOEIC875点。Bond-BBT MBA。英語学習とMBAと資産運用についてのブログを書いています。平飼いの卵とフェアトレードを好みます。金持ち父さんになるために日々悪戦苦闘。面白いことと平和なことが好きです。
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