オンライン海外MBAは役に立つのか?
前回の記事にも書いたように、コロ助はオンライン海外MBAを取得しています。オーストラリアBOND大学のMBAです。
巷からはMBAについて「高い金払ってまで取る価値はない」「理論ばっかで使えない奴が多い」という声も聞こえてきます。
実際にこれからMBA取得を考えている人にとってもこれは気になるところ。せっかく金と時間をかけてMBAを取ったのに役に立たないのであればこんなに悲しいことはありません。実際のところどうなのでしょうか?
目次
MBAは役に立たない?
MBAを持っているだけでは金にならん
コロ助の取得したオーストラリアのBOND大学のMBAですが、このMBAを持っているだけで転職がすんなり決まったり年収が膨れ上がったりすることはまずありません。
コロ助も会社の上司に「ついにMBA取得しました!」と報告したところ「おお、おめでとう!」とは言われましたが、「よしよしMBAなんてすごいじゃないか。わが社の誇りだ。どれ給料を上げてやろう」ということには当然ですがなりませんでした。
それどころかお祝いのビール一杯すらおごってもらえませんでした。
アメリカのトップスクールといわれるハーバード大、スタンフォード大、シカゴ大などのMBAを持っていればまた話は違うのかもしれません。
しかし日本にいながらにしてとれる海外MBAであるBOND大学のMBAにそこまでのネームバリューはなく、残念ながらこの学位そのものにはほぼ何の価値もありません。
海外MBAはかっこいいのか?
前回の記事にも書いたように、もともとMBAを取りたかった理由は「カッコつけたかったから」です。
しかしMBA取得後も特にカッコつけられるような機会は訪れませんでした。
まず自分から「俺ってMBA持ってるんだよね」というように見せびらかす機会がありません。もしそんな見せびらかすような奴がいたら友達になりたくありません。
そもそもMBAというもの自体の知名度が日本ではそれほど高くなく「へーNBA?すごいじゃん」とか言われる始末。それはバスケだろ、と突っ込む余裕もこちらにはありません。MBAだよMBA。
そんな知名度の低いMBAですが、MBAのことを知っている人に対しては「MBA?すごいじゃん?どこ?ハーバード?えっBOND大学?ふーんそうなんだ。どこそれ知らんがな」という雰囲気になってしまいます。
ということで全然カッコつけられません。
こんなはずじゃなかったのですがこれが現実です。
でも海外MBAはとても役に立った
仕事が楽しくなりました
じゃあMBAをとって何もいいことがなかったかというと、全然そんなことはありません。むしろいいことづくめで、コロ助は本当にMBAを取って良かったと思っています。
まず、仕事が楽しくなりました。
MBAでは様々な経営に関する理論を勉強します。例えば、雑誌の購読に関する次のようなケースを考えてみてください。
A. オンライン購読:59ドル
B. オンライン購読&雑誌送付:125ドル
こうした価格設定をした場合、多くの人はAのオンライン購読を選びます。安いですからね。実際にはAを選んだ人が68%、Bを選んだ人が32%だったそうです。
では、次の場合はどうでしょう。
A. オンライン購読:59ドル
B. オンライン購読&雑誌送付:125ドル
C. 雑誌のみ:125ドル
こういう価格設定にすると、Aを選ぶ人が16%、Bを選ぶ人が84%となったそうです。もちろんCを選んだ人はゼロです。
このCの「雑誌のみ」という選択肢を加えその価格をBと同一に設定することによって「 雑誌のみで125ドルなのにオンラインもついて同じ値段なのでBはお得だ 」という印象を与えることができるためです。
面白くないですか?
これはマーケティング戦略という授業の中で「消費者行動論」というトピックを扱ったときに学んだことです。消費者は必ずしも絶対値を見て商品を購入するのではなく、周りとの比較をしながら商品を購入します。
こういうことを知ると日々の仕事が楽しくなります。
例えばお客さんに対して複数のプランの見積書を提示する際に、Aというプランに入って欲しいためにあえてBとCという別のプランを作り、Aを引き立たせお客さんを誘導する・・・ということも考えられるようになります。
単にお客さんの言いなりになってプランを作成するよりも、主体的に仕事ができるようになり楽しくなります。仕事のからくりを知れば知るほど仕事が楽しくなってくるのです。ルールを深く知ればゲームが楽しくなるのと同じです。
MBAはそういうことをいっぱい学べます。
ちなみに名古屋駅構内の居酒屋でハイボール500円、唐揚げハイボールセット550円というような値段設定の店があります(価格はうろ覚えですがこんな感じの設定です)。
こんな値段設定だとハイボール単品を頼むお客さんは少なく、唐揚げハイボールセットがバカ売れします。ハイボール280円、唐揚げハイボールセット550円と設定するときと比較して、客単価のアップが見込めるのです。
MBAで人間関係がアップデートされました
社会人になって数年たつと、いつの間にか大学時代の友達とも疎遠になってきます。特に家族が出来ると土日に友達と遊ぶ機会も少なくなり、いつの間にか人間関係は会社内だけ、ということになりがちです。
MBAはこういった人間関係をアップデートするのにも役に立ちました。いろんな業界のいろんなポジションの人と知り合えるのがMBAのいいところです。
大手メーカーの部長、IT企業の社長、レストランオーナー、医者、弁護士、税理士、個人事業主、ヨーヨーチャンピオン。。。と、コロ助が普段仕事をしているだけでは知り合えないような人と友達になれました。
BOND大学のMBAプログラムは基本はオンラインでの授業ですが、グループワークなどもあり結構仲良くなれるのです。飲み会なども頻繁にあるので、特に東京近郊に住んでいる人は結構な頻度で学友と合う機会を作ることができます。
コロ助のようなヘボいサラリーマンでも、名前を聞けば誰でも知っている大手企業のお偉いさんと学内では「同期」という立場です。サシで割り勘で飲んだりするような人間関係が構築できます。
よくMBAのホームページを見ると「学生同士の交流が盛んで~」とか書いてあってもコロ助は批判的に見てました。いい大人がそんなお友達になんてなれるわけないだろうと。でも実際にBOND大学のMBAを通じてとてもよい人間関係が構築できましたし、卒業後の現在もその関係は続いています。
MBA取得者は理論ばっかりで使えない奴が多い?
これもよく言われることですが、そんなことはないと思っています。むしろMBA取得者を使いこなせない無能上司の言い訳という印象さえあります。
もちろん実際のビジネスの現場は複雑であり、決して教科書や机上の理論だけですべてが説明できるわけではありません。
特にビジネス環境を取り巻く変化の早い現代においては、ちょっと前のビジネス理論やケーススタディですら時代遅れのものとなり、現実のスピードについていけないこともあるでしょう。ビジネスの現場がいちばん重要であり最も学びがあるということに反論の余地はありません。
ビジネスの最前線で結果を残し続けている経営者に「MBAホルダーは理論ばっかりだ。そんなことよりビジネスは現場で起きているんだ!」と言われるのなら納得できるんですよ。
ラリーペイジや孫正義、堀江貴文にこんなこと言われたらぐぅの根も出ません。
でもね。ずーっとサラリーマンやってて年をとってなんとなく出世して、大学卒業してからは勉強もせずに試験も受けずに知識もアップデートされていないような上司に「MBAホルダーは理論ばっかりだ」と言わせても、単なる負け惜しみにしか聞こえません。
コロ助の見てきたMBAの学友たちはとても優秀な人が多かったですよ。いわゆる頭でっかちなガリ勉君ではなく、コミュニケーション力も高く仕事でも実績を残しているパーフェクト超人みたいな人ばかりでした(いやもちろん一部変な人はいましたが)。理論を知っていてもそれを絶対視するのではなく、柔軟に物事を考えられるような人たちです。
理論を知っておくことはビジネスにおいてはマナーのようなものです。
圧倒的な実力者であればマナーを知らずともまかり通るかもしれませんが、そうでない者はマナーを知らずにはビジネスの土俵に立てないのです。
コロ助がむかーし作った新事業の企画書を今見てみるとひどいものです。初期費用が1000万円かかって月に50万円の売上が見込めるから20か月で回収できますよ、とかそんなレベルでした。NPVの概念も割引率の概念も知らない上に、売上と利益の違いもよく分かっていないのですからこんなものです。
こんなにお行儀の悪い企画書はもちろん通りません。マナー違反です。財務担当者に鼻で笑われます。
MBAで学ぶことは決して「100発100中で儲かる企業を育てられる方法」でも「必ずビジネスで最適解を導け出せる方法」でもありません。MBAホルダーはスーパーマンではありません。
実際にMBAの授業を受けてみればわかりますが、内容は本当に基礎的なものが多いです。
その道の専門家にはかないません。
会計の授業の単位が取れてももちろん会計士にはなれませんし、財務の授業の単位が取れたとしても財務部で即エース級の活躍はできません。
でも最低限、会計士や財務部の人と話をしてもある程度の議論はできるようになれるはずです。ビジネスのマナーを身につけられます。
MBAを取ってカッコつけることはできませんでしたが、マナーの良いビジネスマンには一歩近づけたかなと思います。
世の中にはまだまだマナーの悪い社会人が多いので、これだけでもずいぶん自身を差別化できるはずです。
MBA卒業までに授業料やら教科書やら旅費やらなんやらで結局400万円くらいかかりましたが、それ以上の満足を得ることができました。
この400万円というのもオンラインだからこそ。実際に海外に留学するのであれば2000万円+仕事を中断する機会損失が発生します。
- 鳥谷コロ助
へぼい外資系リーマンです。英語はいまだに勉強中。TOEIC875点。Bond-BBT MBA。英語学習とMBAと資産運用についてのブログを書いています。平飼いの卵とフェアトレードを好みます。金持ち父さんになるために日々悪戦苦闘。面白いことと平和なことが好きです。
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